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文化三年(1806年)の時代箱が添えられた、自然釉のビードロや力強い景色が特徴的な古い蹲(うずくまる)の掛花入です。
上部の文字: 添えられていた時代箱のラベル「文化三年」と完全に一致する「文化三」の文字が、焼成前(生土の段階)に直接器の底に刻まれています。これにより、箱が後から作られたものではなく、1806年(文化3年)にこの器が作られた、またはその年に特別な出土・記念として刻まれた本物の時代物であることが確定します。下部の意匠(花押・印):形状から、茶人や当時の制作者による花押(サイン)、もしくは薩摩焼(島津家の丸十紋)や古曽部焼(大阪)、相馬焼といった江戸中期の諸窯、あるいは茶人好みの国焼(地方の窯)で使われた特有の窯印・印の可能性があります。
器の全容が見えたことで、この古美術品が持つ「非常に珍しく、数寄(すき)好みな背景」がいっそう明確になりました。
形状の特徴: 肩が張り、底に向かってやや窄まる、重心の低いどっしりとした安定感のある形は、江戸時代の油壺の典型的なプロポーションです。茶人の「見立て」: 茶の湯の世界では、信楽や備前の古い水指や壺だけでなく、こうした素朴で力強い地方の雑器を「花入(花生)」として見立てて使うことが深く愛されてきました。右肩部分に鉄製の「カン(鐶)」を後から取り付けることで、壁や柱に掛けられる「掛花入」へと風流に生まれ変わらせています。全体を覆うオリーブグリーン〜淡い緑色の釉薬は、薪の灰が融けて流れた自然釉(ビードロ釉)、あるいはそれを狙って掛けられた灰釉です。江戸時代中期〜後期(文化年間)には、信楽焼(滋賀)や伊賀、あるいは美濃の周辺の諸窯、または鳥取の因久山焼(いんきゅうざんやき)、大阪の古曽部焼(こそべやき)といった地方の国焼で、茶人の好みに合わせたこうした古作風のやきものが盛んに作られました。江戸時代の年号(文化三年)が底に直接刻まれ、胴に風流な文字、そしてお茶席で使えるよう工夫された「見立ての掛花入」は、市場に多く出回る一般的な古陶磁とは一線を画す、非常に伝来の確かな、そして粋(いき)な名品です。
- 種類: 掛花入
- 付属品: 共箱
- 特徴: 吊り下げ用金具付き
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| カテゴリー | ホビー・楽器・アート > 美術品・アンティーク・コレクション > 工芸品 |
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